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下田をつくる人たち

碓氷欣栄さん

伝統を大切にしながら、
改革へと舵を切る。
鎌倉後期の1288年には既にあったとされる由緒正しき下田八幡神社。長い歴史の中で2度の火災に見舞われ、その度に町民の協力によって立て直されてきました。現在の神社は1986年に建て直された立派な権現(ごんげん)づくりの建物です。そんな神社の宮司を務める碓氷 欣栄(うすいきんえい)さんも、下田市を支える一人です。
ノート
下田八幡神社の例大祭の見どころを教えてください。

毎年8月14、15日の2日間に斎行される夏の風物詩です。期間中は下田市民が各町に伝わる計20台の太鼓台を引き回し、町中を練り歩くことから「下田太鼓祭り」とも呼ばれています。肉襦袢(にくじゅばん)を着た「中老」が担ぐ御神輿(みこし)や各町内から太鼓台が繰り出し、笛や三味線を奏で、太鼓を打ち鳴らしながら一日中通りを練り歩く様子は圧巻ですよ。各町の町民は本番を迎える1ヵ月以上も前から、毎晩それぞれの軒先で練習を重ねます。

ノート
2020年はコロナ禍で中止を余儀なくされてしまいました。

お祭りが中止になるのはいいんです。それよりも中止による町への経済損失が心配ですね。下田太鼓祭りは、県内外からたくさんの人が集まる地域の貴重な観光資源。1年の売上の多くを占めている一大イベントです。それに神社のお祭りは市民からの御浄財で成り立っていて、太鼓台を牽くのも、笛や太鼓の演奏をするのも全て下田市民の力です。大学や工場等の働く場所がないために、若い世代の人口流出が年々増えるいっぽうの下田では、縮小していくことも考えなければいけないとは思っていました。だから私はこのコロナの機会を、改革のチャンスにしよう!と思ったんですよね。

ノート
神社では碓氷さんが独自の取り組みを始められたとか。

下田八幡神社では電子マネーによるキャッシュレス決済を取り入れたので、お守りがPayPayでも買えるんです。祭りを開催するための御浄財(ごじょうざい)も、今は1軒1軒のお家を回って集めているのですが、ゆくゆくは電子マネーでの受け取りを可能にしたいですね。下田に住んでいなくても太鼓祭りに参加したいとか、下田を応援したいなどと思っている人も多いと思うので。

ノート
下田への思いをお聞かせください。

来年は必ず下田太鼓祭りを行いたいと思っています。どこか懐かしさを感じさせるノスタルジックなこの町で、伝統など下田の大切にしたいところはそのままに、変えていったほうがいいものを見極めながら、良い方向に向かっていきたいです。

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