私は新島(東京都)の出身で、前職は建築設計の仕事をしていたのですが、東京以外に拠点を持ちたいと思い移住先を検討中、吉佐美大浜の美しさに惹かれたことですね。東京育ちなので、田舎暮らしへの憧れもあったんです。
私は都内出身で音大で声楽を学んでいたのですが、小さい頃から音楽と同じくらい植物や自然が好きだったので、移住前は花屋で働き、花束やアレンジメントの製作を担当していました。花を扱っていたので、切り花を育てること(花卉栽培)にも興味を持っていました。下田に初めて訪れたのがあじさい祭りの時期で、圧巻のあじさいには感銘を受けました。
下田市で地域おこし協力隊の募集があり、森林や地方の山の問題に触れることができる内容であり、前職の建築設計を地域に活かすことができるかもしれないと思い応募したのがきっかけです。
私は、より自然の多い環境への移住を考えていたところ地域おこし協力隊のことを知り、「自然の中で暮らしながら、今の自分にできることがあるなら」という思いで応募しました。
『竹たのしみまくる下田』は、同じく地域おこし協力隊の一期生として商工会議所の市街地活性化部門に配属された田中剛さんからの相談があり、一緒に企画したプロジェクトです。2017年秋に「アフターサマープロジェクト」の一環としてスタートしました。下田は夏が終わった後、秋のイベントが少ないという課題があり、市街地活性化と、山の資源の有効活用を兼ねた目的で竹灯りのイベントを企画しました。
私たちとしても、下田の山からの資源を市内のイベントに使用することで、森林や山にも興味を持ってもらう良い機会だと思いました。下田は海が有名ですが、山のことはあまり注目されていません。海が綺麗であるためには健康な森が必要なんです。山の手入れの大切さや、資源の活用方法に興味を持ってもらいたいと思い、そのきっかけづくりとして竹を選びました。
『竹たのしみまくる下田』は今年で5年目を迎えますが、いつの間にか綺麗な灯りを灯すことだけが先行してしまい、山のことを知ってもらうというコンセプトが伝えきれていません。このイベントを通じて、山、川、里、海という自然の循環を知って欲しいと思っています。
竹林は森林と同じく本来は常に整備し続けないとなりません。切った後の竹の使い道も少なく、財産としての価値が低く思われがちで、手入れされずに放任されている現状があります。市内竹林から竹を調達することで、本当に微々たるものですが竹林の手入れができ、イベントで作ったオブジェはその後チップとして農業利用していただいています。竹灯りのイベントを続けることで、山の資源を活用する循環が生まれます。
来たばかりの頃、自転車で通勤していたら、周りの人にとても同情されたことが驚きでした。
「車屋紹介しようか?」
「どこかで拾ってあげようか?」
など、私たちにとっては今までそれが普通だったので、なんで可哀想なのか当初分からなかったんです。
それから、話には聞いていましたが鹿が本当に路上にいて、全く逃げなかったことにも驚きました。笑
とにかく子供にやさしいのが印象的でした。子供がまだベビーカーだった頃、細い道で高校生がすれ違うのを待ってくれたり、道で会うと初対面の方でも、大体腰をかがめて話しかけてくれるんですよ。
当たり前のことですが、人それぞれに下田の感じ方があり、それぞれの視点から「下田というまち」の像を持っていて豊かさを感じましたね。
爪木崎無料駐車場から歩いて行く芝生広場ですね。広場に着くまで色々な樹木があり、広場は静かで見晴らしがいいんです。
吉佐美大浜ですね。波の具合や浜の形が好きで、私が移住するきっかけになったビーチなんですよ。
下田の良いところとして、「ないものはつくればいい」という考え方がとても好きです。竹細工を作れる知り合いが、カゴとか自分で使うものは自分で作るんです。作れる人はいても伝える人がいなければいずれは竹細工もなくなってしまいます。技術だけではなく地域のこと、伝統のこと、方言のことなど、いろいろな話を共有する場を作ろうと思っています。それもあって今は私が発起人の「竹工研究会」という寄り合いのような竹細工教室を週に一回のペースでやっています。私から見ると花や野菜、ものづくりにしても下田の人が当たり前にしていることがキラキラして見えるし、かっこいいと感じます。
下田は地域が子供に優しいので、子供を育てる環境としてもとても良いと思います。子供が楽しく過ごしてくれれば嬉しいです。